当財団は、本田技研工業の創業者である本田宗一郎と、その弟・弁二郎の寄付金によって、1977年12月に設立されました。財団設立のきっかけは、その前年、DISCOVERIESと名づけられた国際シンポジウムを開催したことに端を発します。
DISCOVERIES[1]とは、「環境全体のなかで、人間活動にとって何が問題かを発見する」という意味の英文の頭文字をつなげた造語で、このシンポジウムでは、地球環境と人間活動の調和をはかるための広範な議論が、専門分野の枠を超えて活発に展開されました。この試みは大きな反響を呼び、議論の継続・拡大を望む声がさらに高まりました。こうした社会の要請に応えるために、1977年、その運営母体として当財団が設立されたのです。
国際シンポジウムDISCOVERIESシリーズは、その後も広範なテーマ設定のもと、計11回にわたり、世界の各都市で開催されました。また、2000年には、東アジアでの地域協力のあり方を議論する国際シンポジウムを開催するなど、その後も時代を見据えた多様なテーマのもと、各種シンポジウムや懇談会を毎年開催し、高い評価をいただいています。
さらに、1980年には、エコテクノロジー[2]の観点から顕著な業績をあげた個人またはグループに授与する国際褒章『本田賞』を創設。以来、世界に新たな価値をもたらした科学技術者の業績を讃える活動を続けています。また、2006年には、次世代の科学技術分野のリーダーを育成するための奨学制度『Y-E-S 奨励賞』を創設、今後も人材の裾野を広げるために、主にアジアの学生を対象にその規模を拡大していく予定です。
このように、当財団では時代とともに活動の幅を広げ、今日にいたっています。その根底にあるのは、
「科学技術の力を、真に人類の幸福と平和のために役立てたい」という創設者の切なる願いであり、
この実現が、私たち本田財団のミッションなのです。
[1]DISCOVERIES = Definition and Identification Studies on Conveyance of Values, Effects and Risks Inherent in Environment Synthesis
Humane Use of Human Ideas
叡智を人間の幸福に
(PDF 7,583KB)