当財団の活動理念の中心となるのは、「エコテクノロジー」という考え方です。エコテクノロジーとは、生態系(ecology)と科学技術(technology)を組み合わせた造語ですが、さらに当財団独自の視点がつけ加わっています。
産業革命以降の科学技術は、主に物質とエネルギーの分野を中心に発展してきました。まず、化石燃料をエネルギーとした重厚長大型の産業が発展し、それが20世紀の欧米や日本の経済活動を支えてきましたが、こうした技術は地球環境に大きな負荷を与え、人間すらも置き去りにして発展してきた一面があります。そこに生じたのが数々の環境問題であり、人類が存続するためには、地球上のあらゆる「自然環境」(Natural Environment)との調和をはかる必要があることは、今さらいうまでもありません。
しかし、ここにもうひとつ当財団が重視する視点があります。それは、科学技術は「人間環境」(Human Environment )との調和もまた考慮しなければならないということです。従来の科学技術では、普遍性・客観性・合理性が旗印となり、国や地域の多様性や感情・感性などの人間的要因は排除されてきました。しかし、科学技術のパラダイムの主人公は私たち人間のはずです。この事実を無視して、普遍性や合理性の名のもとに画一的な技術開発を進め、地域文化や生命の多様性を危機に晒したのでは意味がありません。
「自然環境」と「人間環境」の両方と調和できる科学技術──
21世紀に求められるのは、まさにこうした科学技術であり、私たちはこれを「エコテクノロジー」と総称し、その発展拡大に努めているのです。また、こうした考え方を反映した結果、私たちが考えるエコテクノロジーの概念は実に多岐にわたっており、いわゆる自然科学・応用科学はもちろん、社会科学の知見まで視野に入れているところに特徴があります。このように幅広い観点からエコテクノロジーの可能性を追求することが、真に持続可能な社会の構築につながると確信しており、当財団では今後もさまざまな活動を通じ、その拡大発展に尽力したいと考えています。