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※受賞者・ご来賓の所属・役職・プロフィール内容は受賞当時のものです。

2020年本田賞 業績解説

危機に強い社会への転換

 Industrie 4.0の発想のきっかけとなったのは、2008年のリーマンショックによる経済危機でした。
危機に強い社会へと転換するには、成熟しつつあったIoT技術等を用いて現実空間と仮想空間を融合した「サイバーフィジカルシステム」をつくり、まったく新しいビジネスプロセスやビジネスモデルを構築する必要があるとカガーマン博士は考えたのです。2011年~2012年にかけて、ドイツではインターネットと実世界を結び付けた議論が盛んに行われていました。カガーマン博士が率いるドイツ工学アカデミーがその議論をリードし、2013年にヴォルフガング・ヴァルスター(ドイツ人口知能研究センター創設者)、ヴォルフ・ディーター・ルーカス(ドイツ連邦教育研究省国務長官)との共著で発表した論文は大きな反響を呼びました。
 この構想が受け入れられた理由として、カガーマン博士は、「製造業と輸送」というドイツの強みにフォーカスしたこと、政府・企業・科学者コミュニティ・労働組合から早期に協力が得られたこと、経済だけでなく教育や文化を含めた社会全体を大胆に変える「革命」に他ならないことを明示したことをあげています。
 Industrie 4.0の主なねらいは3つあります。1つ目は、大量生産の条件下で顧客の需要にリアルタイムで対応しオーダーメイド製品を生産する「マスカスタマイゼーション」への移行によって、以前より高い生産性と柔軟性を実現します。2つ目は、資源及びエネルギー効率を大幅に高め、経済成長と資源消費を切り離すことです。これは後に循環型経済(サーキュラーエコノミー)の概念へと発展していきました。3つ目が雇用の創出(エンプロイアビリティ)です。自律型システムによってサポートし、職場環境の高齢化に対応することや、人々がよりやりがいのある仕事に就ける仕組みを作ります。
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Industrie 4.0のあゆみ

 2011年から現在までの取り組みは3つのフェーズに分かれます。
 第1フェーズ(2011~2013)では、全てのビジネスプロセスを見直し、職場の未来を考えることがテーマでした。業務プロセスとITプロセスを組み合わせ、すべての構成要素をデジタルで強化した「スマートファクトリー」と「サイバーフィジカルシステム」が導入されます。現実空間と仮想空間をつなぐには、工場の材料や機材などそれぞれの特性をデジタルで表現して共有しなければなりません。そこで「標準化」が不可欠となります。
 第2フェーズ(2013~2018)では、デジタル時代のビジネスモデルとエコシステムの検討がなされました。それに対する解が「スマートサービス」です。デジタルテクノロジープラットフォーム上であらゆるものをアズ・ア・サービスで提供します。ここではデータがビジネスの価値を生み出し、ダイナミックなエコシステムの基盤となります。それによって、消費者側の満足度(ユーザーエクスペアリアンス)が向上するとともに、場所や時間に縛られない柔軟な働き方が可能です。また従業員の仕事と生活の質を担保するために、生涯学習などエンプロイアビリティに向けた取り組みが平行して行われます。
 第3フェーズ(2015~2017)の要は自律型システムです。それらが適切に学習し判断できるよう、センサー技術を活用した高次の知覚による知識だけでなく、社会的、法律的、倫理的なルールや自然界の法則などに基づく環境モデルを設定する必要があります。その前提が満たされて初めて、自律型システムは「責任ある行動」によって社会的課題の解決ができるようになります。

これからの姿

 次なる目標は、国際協調のもとグローバルなデジタルエコシステムを構築することです。その過程で、ダイバーシティやオープン化、相互運用性、データセキュリティやプライバシーの問題に取り組まなければなりません。さまざまな経験やベストプラクティスを共有しながら、経済競争力と社会福祉、オープン化と知財の保護、個人の権利と集団の目的の間でバランスを取りつつ進めていく必要があるでしょう。
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