20世紀における技術革新と経済成長は、我々の生活に多大な恩恵をもたらしましたが、同時に深刻かつ複雑な問題を急速に派生させる結果にもなりました。地球の資源は有限であり、なかでも石油、食料、水資源の将来は決して楽観視できません。具体的には環境破壊や公害問題、都市の過密化、人口・食糧問題、民族間における意識ギャップの拡大などの現象として表れています。それらの地球的規模で解決すべき問題は枚挙にいとまがありません。
こうした数々の問題を解決するため、「自然環境」や「人間社会」との調和ある科学技術の発展を切実に望んだ本田宗一郎・弁二郎兄弟の出捐により、当財団は1977年に設立されました。
シリーズで開催した「ディスカバリーズ」と称した国際シンポジウムで、地球が抱えている課題とその解決の方向性の議論を行い、1979年にはエコテクノロジーという概念を確立。1980年からはエコテクノロジーで顕著な成果を達成した科学技術者の顕彰制度本田賞をスタートさせ、2006年度からはアジア各国の青年がこれからのリーダーとなることを期待して、Y-E-S奨励制度を開始いたしました。
当財団は、このように様々な問題を国際的かつ学際的に広く英知を結集して議論・検討し、現代文明の再評価を行ない、その成果を真の人類の福祉と平和に役立たせ、より高度な社会を実現させる努力が必要との認識に立ち、「人間性あふれる文明の創造に寄与する」ことを目的として、その活動を精力的に続けております。