※参加者の所属・役職・プロフィール内容は開催当時のものです。
国際シンポジウム2014リヤド
「イノベーションのためのパートナーシップ―サウジアラビアと日本の経験」
本田財団は、2014年12月17日、サウジアラビアの首都リヤドにて「Partnership for innovation ―experience of Saudi Arabia and Japan」と題したシンポジウムを、キングサウード大学と共催しました。
当日は本田財団の代表団、会場となったキングサウード大学理工系学部の教授や学生のほか、在サウジアラビア日本大使館、人材育成組織関係者など合計約70名が参加しました。
シンポジウムは、日本における産業の発展と技術革新・人材育成についての事例共有からスタート。次のセッションでは、国や産業の発展におけるイノベーションの果たす役割、またその過程での企業文化やフィロソフィーの重要性が議論され、最後のセッションで、産学連携のあるべき姿について、日本・サウジアラビア双方のスピーカーがプレゼンテーションを行いました。人材育成については「将来のそれぞれの国を担うリーダーを育てるために、その教育者となり得る現在の大学生教育の充実が重要」といった見解が示されるなど、活発な意見交換が行われました。
※当日の講演から主な内容を以下に紹介します。
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セッション1: 産業の発展と技術革新・人材育成児玉文雄博士東京大学名誉教授 芝浦工業大学名誉教授「日本の工業的発展の裏にあるもの:企業のイノベーション許容力」児玉文雄博士は、高度成長期の日本の企業は外国の先進技術をただ利用するだけでなく、積極的に技術革新に対応したことでめざましい工業的発展を実現したことを過去の実例を挙げて説明。サウジアラビアでは、ただ先進国のやったことを繰り返すのではなく、先進国における産業発展の経験の本質を科学的に理解することで、初めて有用な情報を得ることができる、また、そのためには共同研究をしていくのが最も効果的なやり方であろうと語りました。
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セッション2: イノベーション・企業文化・精神イサム・ブカーリ博士在日サウジアラビア王国大使館文化部文化アタッシェ「サウジアラビアと日本におけるイノベーションと未来設計への挑戦」イサム・ブカーリ博士は、イノベーションのためには、課題を様々な観点で考えることが必要であり、ただ変化が生じるのを待つのではなく、自発的に変化を起こして未来を設計しなければならない点を強調。そうした未来設計のためには、勝ち負けの観点ではなく、すべての人類の平和と幸福を目的とした「happy-happy」の関係を築き、サウジアラビアと日本が投資、産業、人材育成やイノベーションといった領域において戦略的パートナーになる必要があると述べました。
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セッション3: 産官学連携について松本和子博士ビジョン開発株式会社研究開発部本部長「科学技術におけるサウジアラビアと日本の協力:大学から産業へ」松本和子博士は、日本の産学の連携が革新的な技術の育成とベンチャービジネスの強化につながる一方で、産業界の早急な商品化の要請がプレッシャーになっている現状について実例を挙げながら解説。さらにサウジアラビア国皇太子が日本で行われた国際会議に参加、多くの質問をされたことを挙げ、二国間の連携の重要性と可能性について語りました。