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Y-E-S Forum レポート

Y-E-S Forum 2018「Eco-Transportationで持続可能な社会に向かって舵を切れ」

Y-E-S Forum 2018

本田財団は、2018年7月7日に東京大学にて、「Eco-Transportationで持続可能な社会に向かって舵を切れ」をテーマに、Y-E-Sフォーラムを開催しました。これはベトナム、インド、カンボジア、ラオス、ミャンマーの各国で本田財団が展開しているY-E-S奨励賞の受賞者たちの参加の下、地域の課題認識、その解決に科学技術が果たすべき役割や、国境を越えた協力関係の構築などについて、日本を含むアジアの若手科学者・エンジニアが中心となって議論する場として企画したものです。

今回はY-E-S奨励賞受賞者によるプレゼンテーション、産業界からのプレゼンテーション、日本の次世代モビリティ関連のスピーカー2名による基調講演、パネルディスカッションを実施。また、本フォーラムに合わせて研究ポスターコンテストを開催し、コンテスト参加者によるプレゼンテーションと表彰式も行われました。

◎Y-E-S奨励賞受賞者によるプレゼンテーション

5カ国のY-E-S奨励賞受賞者が登壇し、それぞれの出身国が抱えているモビリティ問題の現状と解決策についてプレゼンテーションを行いました。ベトナム代表はエコ輸送を目指す長短期の政策について発表する一方、インド代表は河川を利用した物資輸送の発展について考察しました。カンボジア代表は、公共バス事情の課題と解決策について話し、ラオス代表は発展途上国に適したエコ輸送のコンセプトが紹介されました。ミャンマー代表は首都ヤンゴンの環状鉄道網の強化に焦点を当てました。それぞれの発表に対し、会場からは積極的に質問の手が挙がりました。

プレゼンテーションを行うミャンマー代表

プレゼンテーションを行うミャンマー代表

会場からは積極的な質問が寄せられた

会場からは積極的な質問が寄せられた


◎産業界からのプレゼンテーション

本年は産業界から、(株)本田技術研究所がポスター展示及びプレゼンテーションを行いました。ゲストスピーカーとして四輪R&Dセンター上席研究員の守谷隆史氏が登壇し、「つくる」「つかう」「つながる」をコンセプトとしたHondaの燃料電池自動車(FCV)開発と水素エネルギー社会の実現に向けた各種の活動が披露されました。Honda最新の燃料電池車「クラリティFUEL CELL」の性能やモビリティの環境課題を解決する1つの方向性を示す内容に、参加者は熱心に聞き入っていました。

(株)本田技術研究所のプレゼンテーション

(株)本田技術研究所のプレゼンテーション

登壇した守谷隆史氏

登壇した守谷隆史氏


◎基調講演

基調講演は、東京大学生産技術研究所次世代モビリティ研究センター教授の須田義大博士(制御動力工学)と名古屋大学未来社会創造機構教授で名古屋大学COI移動イノベーション拠点研究リーダーの森川高行博士(交通計画、都市計画、消費者行動論)の2名が登壇。須田博士は、自身が取り組んできた自動運転システムの開発・評価プロジェクトを紹介しながら、次世代の交通システム実現と持続性を担保するためのビジネスエコシステムの重要性、自動運転システムの社会受容性を確立するためのHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)技術について、課題と展望を述べました。森川博士は、コネクティッドカー(ネットワーク接続車両)による高度交通管理をテーマに、その礎となるインフラとして道路ネットワークにおける車両や歩行者の位置情報をリアルタイムで記録する「ダイナミックマップ」技術を紹介。また、将来の渋滞解消と道路保守財源を確保する手段として、自身が提案する「駐車デポジットシステム(PDS)」と「一般道路利用者課金(RUC)」を解説されました。参加者にとって、Eco-Transportationの実現に向けた日本の知見と将来の見通しに触れられる、貴重な場となりました。

須田義大博士

須田義大博士

森川高行博士

森川高行博士


◎パネルディスカッション

基調講演終了後、休憩をはさんでパネルディスカッションが行われました。Y-E-S奨励賞受賞者5名と基調講演を行った須田博士、森川博士の7名が登壇し、当財団業務執行理事であり、政策研究大学院大学教授・副学長の角南篤博士をファシリテーターとして議論が進行しました。

議論は各国の受賞者が行ったプレゼンテーションを振り返りながら、個々の国の規模や文化事情に応じたEco-Transportationのあり方について須田博士、森川博士が意見する形で進行しました。
須田博士からは「素晴らしいアイデアを披露してもらったが、政策議論に偏りがちな点が気になった」、森川博士からは「考え方は理解できたが、プレゼンテーションの内容に効果があるのかもっと深堀してほしい」と指摘があり、角南博士の進行によって活発な意見交換が行われました。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

ファシリテーターを務めた角南篤博士

ファシリテーターを務めた角南篤博士


◎研究ポスターコンテスト

本フォーラム開催にあたり、Eco-Transportationをテーマとした研究ポスターコンテストが実施されました。参加者にネットワーキングの機会を設けることと、彼らの研究の向上、共有することを目的とするものです。会場には17チームのポスターが掲示され、事前審査を通過した10チームがプレゼンテーションを行いました。本田財団理事、基調講演スピーカーである須田博士と森川博士、産業界からのプレゼンテーションを行った(株)本田技術研究所の守谷氏、2017年本田賞受賞者である松波弘之博士らからなる選考委員会により上位3チームが選出されました。また観客賞はフォーラム参加者の投票によって選ばれました。ランチタイムを兼ねた観覧時間では、会場の各所でポスターの制作者とフォーラム参加者が議論する姿が見られました。

1位となった田川慶樹さん(慶応大学)

1位となった田川慶樹さん(慶応大学)

2位となった大草光司さん(愛媛大学)

2位となった大草光司さん(愛媛大学)


3位となった稲田恵一さん(東京理科大学)

3位となった稲田恵一さん(東京理科大学)

オーディエンス賞を受賞したWenzhu Cuiさんと片山茜さん(筑波大学)

オーディエンス賞を受賞した
Wenzhu Cuiさんと片山茜さん(筑波大学)


会場内ではポスター制作者とフォーラム参加者の議論が活発に行われた

会場内ではポスター制作者と
フォーラム参加者の議論が活発に行われた


◎Y-E-S Forum 2018 実行委員会メンバー

▼ベトナム

Nguyen Cong Tu

Nguyen Cong Tu
2008年 Y-E-S奨励賞受賞者
ハノイ工科大学 物理工学部講師兼研究員

Nguyen Thi Thu Huong

Nguyen Thi Thu Huong
2012年 Y-E-S奨励賞受賞者
韓国科学技術研究所(KIST)博士号候補生

Le Quang Hieu

Le Quang Hieu
2012年 Y-E-S奨励賞受賞者
エコネット社 最高技術責任者/ビッテルグループ クラウド・エバンジェリスト


▼インド

Sashank Vandrangi

Sashank Vandrangi
2013年 Y-E-S奨励賞受賞者
ボストンコンサルティンググループ マネジメント・コンサルタント

Harsh Kabra

Harsh Kabra
2014年 Y-E-S奨励賞受賞者
ドイツ ベルリン メルセデスベンツ・イノベーション研究所技術者

Shyam Sunder Prasad

Shyam Sunder Prasad
2014年 Y-E-S奨励賞受賞者
バンガロール サムスンセミコンダクターインドリサーチ上級エンジニア


▼カンボジア

Kim Keosopanha

Kim Keosopanha
2008年 Y-E-S奨励賞受賞者
カンボジア商務省 微生物学研究部研究役員

Plong Malypoeur

Plong Malypoeur
2009年 Y-E-S奨励賞受賞者
カンボジア ABA銀行 研究・商品開発責任者


▼ラオス

Mary Pakdimanivong

Mary Pakdimanivong
2011年 Y-E-S奨励賞受賞者
ラオス INTRA株式会社(単独法人) 役員秘書

Kaynhasith Xayalath

Kaynhasith Xayalath
2014年 Y-E-S奨励賞受賞者
ワットタイ国際空港拡張事業 株式会社 安藤・間 積算技術者


▼ミャンマー

Co Se Lin

Co Se Lin
2015年 Y-E-S奨励賞受賞者
構造工学技術者(フリーランス)


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