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懇談会レポート

2011年12月13日

第120回
「生き方としての科学」〜オープンシステムサイエンスのすすめ〜
2011年12月13日 東京商工会議所 東商スカイルーム
デカルトを代表とする科学方法論は、問題を現実から切り離して細分化・解析した上で再合成していくものであり、それによって20世紀の様々な問題が解決された。しかしいまだ解決されない地球温暖化や情報システムの安全性といった問題は、巨大で複雑、また常に進化する統合システムの問題であるため、既存方法での解決は難しい。そこで、新たに「オープンシステムサイエンス」を提案する。これは従来の「解析」「合成」に加え、時間的な「運営」を軸に取り入れた方法論である。問題領域をモデル化し動かす中で、現実と矛盾しないようモデルの変更や領域自体を常に変化させていく。これにより様々な分野で高精度な未来予測が可能となる。そして状況をより良い方向へ導き、社会的コンセンサスの獲得を目指す。そうした人間性と協調した科学、生き方としての科学が、職業としての科学と両立していかなければならない。
所眞理雄氏
(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役会長

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2011-5

2011年09月12日

第119回
「国家の勢いと科学技術外交」
2011年9月12日・東京會舘
戦後の日本は、アメリカ中心の先進国から技術を取り入れ成長してきた。先進国となった今日でもその姿勢は強く、科学技術協定も他の先進国との締結割合が多い。けれども、中国など新興勢力が台頭する現状では一国が物事を決めるのではなく、連合体やさらに小さいセクター(組織)が中心となり、決定する構造が生まれている。日本の科学技術外交も先進国から開発途上国へ視点を変え、セクター単位での交流・支援を行うべきである。そこでODAの予算を使い、JSTとJICAが連携し、地球規模課題に取り組む共同研究プログラム「SATREPS」を立ち上げた。現在アジアやアフリカを中心に、ローカルニーズに基づく研究開発を進めている。しかし、日本から技術を教え、それを開発途上国が模倣するだけでは不十分である。彼らが応用した知識を、今度は日本がためらわずに学ぶ勇気が肝要である。内向きと言われる日本人研究者の目を外へ向け、科学技術外交を外交資源として活かす取り組みが始まっている。
薬師寺泰蔵氏
(公財)世界平和研究所理事研究顧問

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2011-4

2011年07月05日

第118回
「東日本大震災」〜生の記憶を基盤としたパラダイムシフトへ向けて〜
2011年7月5日・東京會舘
日本の環境意識やエコテクノロジーは世界トップレベルにありながら、CO2排出量は依然増加の一途を辿っている。これはエコテクノロジーが消費の免罪符となって、購買意欲を促進していることが一因である。しかし2011年の東日本大震災を機に、テクノロジーが人間の欲を満たしてきた従来のライフスタイルを再考し、環境問題と正対することが求められている。それには今を基準に未来を考えるフォアキャスティング思考ではなく、有限な環境と生活利便性の不可逆性を考慮したライフスタイルを描き、そこから必要なテクノロジーを絞り込む「バックキャスティング思考」へシフトする必要がある。加えて、今こそ完璧な循環、高効率性を持つ自然から、新しいテクノロジーを学ぶべきである。復旧ではなく復興へ。そして、人間が潜在的に求める自然や人との繋がり、工夫する楽しみがある循環型社会の模範を世界へ示すときである。
石田秀輝氏
東北大学大学院環境科学研究科教授

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2011-3

2011年03月28日

第117回
「日本の科学技術政策の未来」〜第4期科学技術基本計画に向けて〜
2011年3月28日・東京會舘
21世紀は「アジアの時代」で、2020年代には世界でGDPの半分以上、人口の3分の2以上をアジアが占めると言われる。世界の新興国に住む40億人が先進国並みの豊かさを求める中、持続的成長を脅かす環境、資源、エネルギー等の問題は地球規模になった。これらを乗り越えるためには、社会システムを含めたオープンかつフラットで、グローバル視点での課題解決型イノベーションが必要となる。日本は優れた環境エネルギー技術でアジアのリーダーとなるとともに、少子高齢化問題を克服し、そのモデルを世界に示したい。日本は近年多数のノーベル賞受賞者を輩出している上、次世代に向けた多くのブレークスルー技術も保持している。これらを活かしていくためには、頭脳の国際循環に乗れるような世界のトップを狙う人材育成や、長期的視点に立った基礎研究強化などが必要。目指すべき国の姿を明確に描き、科学技術を未来への投資と位置付けて政策展開することが大事な点である。
相澤益男氏
内閣府 総合科学技術会議議員

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2011-2

2011年01月25日

第116回
「地球の歴史と文明」
2011年1月25日・東京會舘
地球の歴史と人類の文明は密接な関係を持つ。天体における地球の存在を理解するためには、地球をシステムとして捉え、その構成要素であるコア・マントル・地殻・大気・海などの物質圏と、構成要素間の関係性を生み出す駆動力であるエネルギーなどの物質循環分化の過程を知ることが重要。現在の地球は最も分化した状態にある上、後氷期という温度的には安定した状態。ゆえに生物圏・人間圏という新しい構成要素が生まれてきたが、狩猟採集から農耕牧畜に物質循環を変えるなど、新たな文明が生まれた結果、汚染が観測される事態になった。未来の地球は、分化とは逆に均質化され、エネルギーが冷却され、生物圏・人間圏が消滅し、次々と生まれてきたものが消されて行くだろう。地球環境問題を感傷論で議論するのはなく、新たな人間論「我々とは何か」「文明とは何か」といった新しい「智」の体系を求める科学的議論「智球学的人間論」が大切になってくる。
松井孝典氏
千葉工業大学理事 惑星探査研究センター所長

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2011-1

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